最近の立て続けの緊急案件が一段落したので、久々に翻訳関連のことを書きたいと思います。 Google TranslateをはじめとしてAIによる翻訳が注目されており、今の10代、20代の方には、翻訳家という存在自体の意味が分からないかもしれませんが (笑) 、社内コミュニケーションの中で何となく分かれば良い、というのとは異なり、法務翻訳家が取り扱う文書は微妙なニュアンスの違いもきっちりと訳す正確性が第一に要求されるため、AIはまだ翻訳家の存在を消すレベルにはなっていないんですよ。 それはさておき、そんな時代にもかかわらず、私はいまだに(エージェンシーからよほど要求されない限り)翻訳ソフトすら使わずに翻訳をしてる人間です。 ソフトを使わない理由には色々とあって長くなるので、ここでは省きますが、使わないからか、 ここ数年の間で、いただくことの多い文書には、機械が解読することができない、あるいは翻訳ソフトが上手く機能しそうのないような文書が多い気がします。 ところで、機械に解読不能な文書って?と思われるかもしれません。 もちろん私が勝手にそう思っているだけですが、そんな感じの文書には以下のようなものがあります。(あくまでも、独断と偏見の分類です。) 1 元々解像度の悪い30年も40年も前の書面文書のPDF 翻訳ソフトを使って作業をする人は、ファイルがPDF等の場合、いったんテキストに変換してから訳します。でも、あまりにも解像度が悪いとそんな変換もできないので、PDFを見て(翻訳ソフトなしで)訳す必要があります。ソフトを使用する人はかなり嫌がると思います。 2 英語ネイティブではない人が書いた英文の日本語への翻訳 英語が母国語ではない場合、英語が多少崩れてしまうのも仕方のない話ですよね。でも、翻訳の基本は「原文を理解し」→「別の言語へ訳す」ということなので、その原文が理解困難だったりすると作業がスムーズにいきません。書いた人には失礼かもしれませんが、AIには理解できないのでは? と思うことも結構あります。 3 他言語から英語へ翻訳されたものの日本語への翻訳 これは上記の2と似ていますが、多言語から訳されている場合、言語の問題の他、他言語から英語に訳した翻訳者の質が悪かったりすると、意味を理解するのに苦労することになります。 4 手書き 信じられないかもしれませんが、手書きを読み取ったPDFが送られてくることも多々あります。しかも、普通の日本人がパッと見てすぐに読めないような癖字も多いです。 そんな文書には、図面や報告書に手書きしたものや、何十年も前の手書き報告書などがあります。 5 社内用語/部署内用語(省略等)が多発する文書 社内用語は、その文書だけからでは解読できないことも多いです。例えば、同じ案件で文書が10部とかあったりする場合に、他の9部を翻訳してみて(または読んでみて)初めて意味が分かるものもあります。 もちろん、上記のいずれにも当てはまらない普通のキレイな文書が送られることもあり、そんなときは嬉しいですよね。 なお、これまでにも翻訳関連記事(こちら)を書いているのでよかったらご覧ください。 |
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